人文知識・国際業務の在留資格該当性

「人文知識・国際業務」の在留資格該当性は、入管法別表第1の2の表に書かれています。

 

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う法律学、経済学、社会学そのほかの人文科学の分野に属する知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事する活動

ただし、「教授」「芸術」「報道」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「企業内転勤」「介護」「興行」の在留資格に該当する活動が除きます。

 

前半部分がいわゆる①人文知識のカテゴリーであり、後半部分が、②国際業務のカテゴリーです。

 

①人文知識 ②国際業務
 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を要する業務に従事する活動  本邦の公私の機関との契約に基づいて行う外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事する活動

本邦の公私の機関とは

本邦の公私の機関には

 

国、地方公共団体、独立行政法人、会社、公益法人等の法人の他、任意団体も含まれます。

 

また、日本に事務所等を有する外国の国、地方公共団体、外国の法人等も含まれます。

 

個人経営の場合も日本で事務所を有している場合は該当しますが、事業の安定性、継続性の立証が難しいのが現状です。

人文科学の分野に属する知識とは

人文知識の在留資格該当性では、「人文科学の分野に属する知識を必要とする業務」であることが要求されます。

 

どれほどの水準が求められるのでしょうか。

 

この水準はそこまで高度なものではなく、単純就労ではなくそれなりの知識やスキルを必要とする業務であることを立証することで許可になり得ます。

 

例えば、カメラマンの業務においては、結婚式場のカメラマンとしての業務は単純就労と見なされる可能性が高く、一方、映画製作会社の撮影業務であれば、それなりの専門知識を要する業務であると認められる可能性があります。

採用研修として一定期間単純就労をさせる場合

会社の業務全般を理解させることを目的として、新入社員に一定期間現場で単純就労の経験を積ませる場合はどうでしょうか。

 

この場合も、しっかりと理由書に記載することで認められる可能性はあります。

 

幹部候補社員としての採用であること、会社の業務戦略を立案、構築するためには、現場の業務を実際に体験して知っておく必要があること、現場での単純就労業務は入社当初の短期間に限られることを記載します。

 

法務省入国管理局が平成27年12月に策定した「ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について」という文書の中にも、

 

雇用される従業員の入社後のキャリアステップや各段階における具体的な職務内容と研修の内容の関係がわかる資料の必要性が記載されています。

国際業務で要求されるレベル

国際業務の在留資格該当性では

 

「外国人特有の感性、すなわち外国に特有な文化に根ざす一般の日本人が有しない思考方法や感受性」を必要とする業務であることを要します。

 

これは、申請人が外国人であるというだけでは十分ではありません。

 

たとえばデザイナーとして本国で海外ブランドに関わるデザイン業務を実務経験として持っていれば、その経験に関連するデザイン業務を日本で行うことは、外国人特有の感性を持って従事する活動として認められる可能性があります。

「契約」の意義

契約には雇用の他に、委任、委託、嘱託等が含まれます。

 

注意点としては、特定の機関との継続的な契約である必要があるということです。

 

ただし、許可の観点から言うと、業務委託契約や派遣契約の場合は雇用契約に比べて可能性は低くなります。

雇用される機関の事業における適正性、安定性、継続性

国や地方公共団体、公立の機関以外の機関と契約に基づいて業務に従事する場合には、その機関の事業が適正に行われ、安定性と継続性を持つものでなくてはいけません。

 

この在留資格は短期的な滞在を予定しているものではないので、申請時だけではなく、更新時、変更時にも適正性、安定性、継続性を立証する必要があります。

 

 <適正性を判断されるポイント>

 

  • 機関が必要とされる許認可を保有していること
  • 違法行為・不正行為を行っていないこと

<安定性および継続性を判断されるポイント>

 

  • 売上
  • 利益
  • 組織形態
  • 組織規模
  • 設立年度